化粧品OEMを利用すると、他社と似たような処方の商品になりやすいと感じたことはないでしょうか。この背景には、OEM会社側のコスト構造と、発注者側の情報不足という2つの要因が関係しています。
本記事では、なぜ処方が同質化するのかという構造的な原因から、実際に差別化するための具体策までを解説します。読み終える頃には、OEM会社を選ぶ際に何を確認すればよいかが明確になります。
化粧品OEMで「同じような処方」が量産される理由
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- OEM会社側のコスト構造と量産処方の関係
- 発注者側が陥りやすい情報不足
- 市場全体に起きている処方の同質化
処方が似通う最大の要因は、OEM会社が保有する「ベース処方」を複数のクライアントに再利用する仕組みにあります。ゼロから処方を設計するには開発期間と検査コストがかかるため、実績のある処方を土台にすることが業界の標準的な進め方になっています。
OEM会社側のコスト構造と量産処方の関係
OEM会社は、開発費・検査費・在庫リスクを抑えるため、既存のベース処方をベースに複数ブランドへ展開することが一般的です。理由は明確で、ゼロから処方設計を行うと数百万円規模の開発コストと数ヶ月の検査期間がかかるためです。
たとえば同じ保湿ジェルのベース処方が、成分の配合比率だけ変えて複数のブランドで採用されているケースは珍しくありません。発注者がこの仕組みを理解しないまま契約すると、意図せず競合と似た商品になってしまいます。
発注者側が陥りやすい情報不足
発注者の多くは、処方の中身よりも配合成分の訴求ワードを重視する傾向があります。しかし、成分名だけで差別化を図ろうとすると、同じ成分を使った競合商品と見分けがつかなくなります。
たとえば「ヒト幹細胞培養液配合」という訴求は、同じ原料メーカーの供給を受けた複数のOEM会社で扱われているため、成分名だけでは独自性を示せません。処方の中身まで踏み込んで確認する姿勢が、発注者側には求められます。
市場全体に起きている処方の同質化
トレンド成分に注目が集まるほど、市場全体の処方は横並びになりやすくなります。理由は、SNSで話題になった成分をOEM各社が一斉に取り扱い始めるためです。たとえばCICA成分やセラミド配合の商品は、ここ数年で急激に選択肢が増えましたが、その分パッケージやブランディング以外での差別化が難しくなっています。
処方そのものへのこだわりが、今後さらに重要になっていくと考えられます。

関連記事:化粧品OEM/ODMのご案内

処方が似ることで起きる、発注者側の具体的な不利益
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 価格競争に巻き込まれやすくなる
- ブランドの世界観が伝わりにくくなる
- リピート購入につながりにくい
処方が似通うと、商品の優位性を訴求できる要素がパッケージや価格だけに限定されます。結果として、発注者が意図しない形で価格競争に巻き込まれることになります。
価格競争に巻き込まれやすくなる
処方に独自性がない場合、消費者は価格を判断基準にしやすくなります。理由は、成分や使用感に差がなければ、比較材料が価格しか残らないためです。たとえば同じベース処方を使った美容液が複数ブランドから発売されている場合、後発ブランドほど値下げ圧力を受けやすくなります。
処方段階での差別化ができていないと、収益性を確保しにくいビジネス構造に陥ります。
ブランドの世界観が伝わりにくくなる
処方が競合と同じであれば、ブランドコンセプトを製品の使用体験に落とし込むことが難しくなります。なぜなら、使用感やテクスチャーはブランドの世界観を伝える重要な接点だからです。
たとえば「自然派」を掲げるブランドが、他社と同じ合成処方のクリームを使っていると、コンセプトと製品体験に矛盾が生まれます。処方の段階からブランドの方向性を反映させることが、世界観の一貫性につながります。
リピート購入につながりにくい
似た処方の商品は、消費者にとって「わざわざこのブランドを選ぶ理由」が見えにくくなります。理由は、使用感に明確な違いがなければ、次回購入時に他ブランドへ流れやすくなるためです。
たとえば同じ保湿力を謳う商品が並んだ際、消費者は価格やパッケージデザインの新しさで乗り換えることが多く見られます。処方による独自の使用感を確立できているブランドほど、リピート率が高い傾向にあります。

関連記事:化粧品OEM/ODMのご案内

差別化できるOEM会社と、できないOEM会社の見極め方
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- オリジナル処方への対応可否を確認する質問リスト
- 最低ロット数と処方自由度の関係
- 処方開発チームの体制を確認するポイント
OEM会社によって、オリジナル処方への対応力には大きな差があります。発注前の質問の仕方次第で、その会社の実力を見極めることが可能です。
オリジナル処方への対応可否を確認する質問リスト
オリジナル処方に対応できるかどうかは、具体的な質問を投げかけることで判断できます。理由は、対応可能なOEM会社ほど、処方設計の裏付けとなる根拠を明確に説明できるためです。
たとえば「ベース処方からどの程度カスタマイズできるか」「配合比率の変更にどのくらいの検査期間がかかるか」を尋ね、具体的な回答が得られるかを確認します。曖昧な回答しか返ってこない場合は、既存処方の流用が前提になっている可能性があります。
最低ロット数と処方自由度の関係
一般的に、ロット数が少ないほどオリジナル処方への対応は制限されやすくなります。理由は、小ロット生産では処方開発コストを商品単価に転嫁しにくいためです。
たとえば化粧水の場合、3,000本程度のロットからオリジナル処方に対応できる会社もあれば、1万本以上でなければ対応しない会社もあります。自社の想定ロット数と、対応可能な処方自由度が見合っているかを事前に確認する必要があります。
処方開発チームの体制を確認するポイント
処方開発を担う体制が社内にあるかどうかも、重要な判断材料です。なぜなら、処方部門と容器部門が連携して開発を行う会社ほど、独自性の高い製品化が可能になるためです。
たとえば処方担当者が在籍し、成分の配合根拠を自社で説明できる会社は、外部委託が中心の会社と比べて柔軟な対応が期待できます。商談時に開発体制を直接確認することをおすすめします。

小ロットから自社ブランドの化粧品を立ち上げたい方は、
「化粧品OEM 小ロット100個対応」
https://ai-cosmetic.co.jp/#contact
処方で差別化するために発注者が意識すべきこと
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 配合比率へのこだわり方
- 剤形(ジェル・クリーム・ミストなど)での差別化
- 使用感・香りなど言語化しにくい要素への向き合い方
処方による差別化は、成分の種類だけでなく、配合比率や剤形といった細部への工夫によっても実現できます。
配合比率へのこだわり方
同じ成分を使っていても、配合比率を変えるだけで使用感や効果の実感度は大きく変わります。理由は、有効成分の濃度が使用感やテクスチャーに直接影響するためです。
たとえば同じヒアルロン酸配合でも、分子量の異なる複数のヒアルロン酸をどの比率で組み合わせるかによって、浸透感やべたつきの有無が変化します。OEM会社に配合比率の根拠を確認することが、差別化の第一歩になります。
剤形(ジェル・クリーム・ミストなど)での差別化
同じ有効成分でも、剤形を変えることで消費者の体験は大きく変わります。なぜなら、剤形はテクスチャーや使用シーンを左右する要素だからです。
たとえば同じ保湿成分でも、クリームであれば就寝前のスキンケア、ミストであればメイク直しのタイミングと、使用シーンごとに訴求ポイントを変えることができます。ターゲットのライフスタイルに合わせた剤形選びが、差別化につながります。
使用感・香りなど言語化しにくい要素への向き合い方
使用感や香りは数値化しにくいものの、リピート購入を左右する重要な要素です。理由は、消費者が製品を評価する際、成分表示だけでなく感覚的な満足度も重視するためです。
たとえば同じ成分構成でも、なめらかさや伸びの良さ、香りの持続時間に違いがあれば、それがブランドの個性として記憶に残ります。試作段階で実際にテクスチャーを確認し、細部までこだわる姿勢が差別化の鍵になります。

関連記事:化粧品OEM/ODMのご案内

小ロットでもオリジナル処方は実現できるのか
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 小ロット対応OEM会社の探し方
- 費用感とロット数のリアルな相場
小ロットだからといって、オリジナル処方を諦める必要はありません。対応可能な会社を見極めるポイントを押さえれば、初期投資を抑えながら独自性のある商品開発が可能です。
小ロット対応OEM会社の探し方
小ロットでオリジナル処方に対応できる会社は、ベース処方のカスタマイズ範囲を明示していることが多く見られます。理由は、対応実績のある会社ほど、どこまで柔軟に対応できるかを事前に説明できるためです。
たとえば「小ロットOEM」を専門に掲げる会社では、100個単位からのカスタマイズに対応しているケースもあります。複数社に問い合わせて対応範囲を比較することが、自社に合った会社を見つける近道です。
費用感とロット数のリアルな相場
一般的に、化粧水であれば3,000本程度のロットで300万〜400万円、美容液であれば400万〜500万円程度が相場とされています。理由は、容器や充填工程のコストがロット数によって単価に反映されるためです。
小ロットでオリジナル処方に対応する場合、この相場よりも単価が上がる傾向にあるため、事前に見積もりを複数社から取得し、費用対効果を比較することが重要です。

関連記事:化粧品OEM/ODMのご案内

薬機法を踏まえた処方訴求の注意点
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 効能効果表現でやってはいけないこと
- 処方の独自性を安全にアピールする言い回し
処方の独自性をアピールする際には、薬機法上のルールを踏まえた表現が求められます。誤った表現は行政指導の対象となるため、注意が必要です。
効能効果表現でやってはいけないこと
化粧品の効能効果として認められている範囲を超えた表現は、薬機法違反にあたります。理由は、化粧品はあくまで「効能効果の範囲が限定された製品」として扱われているためです。
たとえば「シミが消える」「肌が生まれ変わる」といった医薬品的な表現は、化粧品の広告として認められていません。処方の独自性を訴求する際も、承認された効能効果の範囲内で表現する必要があります。
処方の独自性を安全にアピールする言い回し
独自処方であることは、効能効果を断定しない形でアピールすることが可能です。なぜなら、「配合している」「こだわって設計した」といった事実ベースの表現は、薬機法上問題になりにくいためです。
たとえば「独自配合比率で仕上げた」「自社ラボで処方設計」といった表現は、効果を断定せずに独自性を伝えられます。表現に迷う場合は、OEM会社の薬機法チェック体制を確認することをおすすめします。

関連記事:化粧品OEM/ODMのご案内

海外展開を見据えた処方設計の考え方
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 輸出先の成分規制との整合性
- グローバル対応できるOEM会社の選び方
将来的に海外展開を視野に入れている場合、処方設計の段階から輸出先の規制を踏まえておく必要があります。
輸出先の成分規制との整合性
国内で使用できる成分でも、輸出先の国では使用が制限されている場合があります。理由は、化粧品の成分規制は国や地域ごとに異なる基準で運用されているためです。
たとえばEUでは、日本国内で広く使われている一部の防腐剤の配合上限が異なるため、処方をそのまま流用できないケースがあります。輸出を検討する段階で、対象国の規制を確認しておくことが重要です。
グローバル対応できるOEM会社の選び方
輸出実績のあるOEM会社であれば、対象国の規制に沿った処方調整に対応できる場合があります。なぜなら、海外の製造許可や登録制度に精通している会社ほど、規制対応のノウハウを蓄積しているためです。
たとえば米国・中国・フィリピンなど複数国で製造拠点や許可を持つOEM会社では、輸出先ごとの規制に応じた処方調整の相談が可能です。海外展開を見据える場合は、早い段階でこうした実績を持つ会社に相談することをおすすめします。

関連記事:化粧品OEM/ODMのご案内
小ロットから自社ブランドの化粧品を立ち上げたい方は、
「化粧品OEM 小ロット100個対応」
」

まとめ:処方の同質化を避け、選ばれるブランドになるために
処方が似通う背景には、OEM会社側のコスト構造と発注者側の情報不足という2つの要因があります。この構造を理解したうえで、配合比率や剤形、使用感といった細部にこだわり、対応可能なOEM会社を見極めることが、市場で選ばれるブランドをつくる第一歩になります。
まずは気になるOEM会社に、オリジナル処方への対応範囲を具体的に質問することから始めてみてください。
参考情報源
- 厚生労働省「化粧品の適正広告ガイドライン」
- https://www.mhlw.go.jp/
- 医薬品医療機器総合機構(PMDA)
- https://www.pmda.go.jp/
- CosIng(欧州化粧品成分データベース)
- https://ec.europa.eu/growth/tools-databases/cosing/


コメント