まずは、化粧品づくりで最も重要な要素である「保湿成分」の選び方を整理します。というのも、グリセリン・スクワラン・NMFは、同じ“保湿”でも働きがまったく異なり、使い分け次第で仕上がりが大きく変わるからです。また、乾燥肌対策・敏感肌対策・エイジングケアなど、目的によって適切な成分も変わります。そのため、基本特性を理解するだけで処方づくりが驚くほどスムーズになります。本記事では、保湿成分を基礎から実務レベルまで一気に理解できるように、順を追って詳しく解説します。
保湿成分を理解すると化粧品作りが変わる3つのポイント
▼この章で扱う主なポイントは以下のとおりです
- 保湿は「水を抱える」「蒸発を防ぐ」「肌内部を整える」の3軸
- 化粧水・美容液・クリームで役割が違う
- 肌質別に必要な保湿力を見分ける
▼章全体の概要
まず、保湿成分の特徴を理解すると、化粧品づくりの方向性が明確になります。なぜなら、保湿は“肌に水を入れる”“水を保持する”“水を逃がさない”という3つの要素が揃って初めて成立するため、どの軸を強化するかで処方の設計が大きく変わるためです。

保湿は3軸で考える
保湿は、まず「水分を角質層に届ける」、次に「水分を保持する」、そして「蒸発を防ぐ」という3つの軸で成立します。たとえば、グリセリンやNMFは角質層で水を抱え込み、内側のうるおいを安定させます。一方でスクワランは、水分が蒸発しないように肌の表面に薄い膜を形成します。さらに、これら3つをバランスよく組み合わせると、うるおいが持続し、乾燥によるゆらぎを防ぎやすくなります。この3軸を理解するだけで、処方の方向性が劇的に変わります。
化粧水・美容液・クリームで役割が異なる理由
スキンケアにおいて、化粧水・美容液・クリームといった各アイテムは、それぞれ異なる目的を持って処方されています。そしてその目的に応じて、使用する保湿成分(グリセリン・スクワラン・NMFなど)も適切に選び分ける必要があります。以下では、それぞれのアイテムに求められる役割と、配合すべき主な成分について整理してみましょう。
まず「化粧水」は、スキンケアの最初に使う基礎アイテムであり、主な役割は肌に水分を与え、角質層をうるおいで満たすことにあります。この段階では、保湿力がありながらも軽やかな質感の成分が求められます。代表的な成分としては、**天然保湿因子(NMF)**が挙げられ、肌がもともと持つ保湿メカニズムをサポートする働きがあります。また、グリセリンなどの低分子保湿成分も化粧水に適しており、角層内部への浸透を促進する効果が期待できます。
次に「美容液」は、特定の肌悩みにアプローチする高機能アイテムとして位置づけられています。そのため、美容液には比較的高濃度のグリセリンやヒアルロン酸、ペプチドなどの機能性成分が配合される傾向があります。特にグリセリンは、水分を抱え込む能力に優れており、乾燥による小ジワ対策やハリ感の向上に貢献します。また、ヒアルロン酸との併用によって、表面と内部の保湿バランスが取れた処方が可能になります。
最後に「クリーム」は、スキンケアの仕上げとしてうるおいを逃さない“フタ”の役割を担います。そのため、スクワランや各種植物性オイルといった油性保湿成分の配合が重要となります。スクワランは人の皮脂構成に近く、肌なじみが良いため、ベタつかずにうるおいを閉じ込めることが可能です。さらに、グリセリンやヒアルロン酸と組み合わせることで、“水分+油分”の理想的な保湿バリアを形成することができます。
このように、それぞれのアイテムの機能を理解し、成分の性質に応じた処方を行うことで、スキンケア製品全体としての保湿設計がより効果的になります。特にOEMや小ロット開発を行う際には、このようなアイテムごとの成分使い分けの視点が非常に重要です。

必要な保湿力を見極めるチェック項目
また、肌質ごとに必要な保湿力も異なります。たとえば、乾燥肌は水分保持力が低いため、グリセリンやNMFを多めに使い、油性膜でフタをする処方が適しています。一方で混合肌は、重くならないようにスクワランの量を調整し、軽い保湿アイテムが向いています。さらに敏感肌は、刺激の少ないアミノ酸系の保湿成分を中心に使うと安心です。肌質に合わせて保湿力を調整することで、より快適な仕上がりに近づきます。
グリセリンがもたらす3つの保湿効果
▼この章で扱う主なポイント
- グリセリンの吸湿性
- 安全性と使いやすさ
- 濃度調整の注意点
▼章の結論(結論・導入)
スキンケア成分の中でも非常に汎用性が高く、ほぼすべての化粧品に配合されているのが「グリセリン」です。グリセリンは水分を空気中や肌内部から引き寄せて、角質層にとどめるという**「吸湿性」と「保水性」に優れた特徴を持っています。特に乾燥肌対策**においては、肌の水分量を安定させるために欠かせない基礎成分といえます。
また、グリセリンは安全性の高さでも評価されており、刺激性が非常に低く、アレルギーのリスクも小さいことから、敏感肌・赤ちゃん・アトピー肌などにも使用可能な保湿剤として幅広く採用されています。
たとえば、敏感肌用の化粧水では、グリセリンと天然保湿因子(NMF)を組み合わせて、低刺激かつしっかりと水分補給できる処方が一般的です。さらに、高保湿クリームでは、グリセリンを高濃度(5〜10%)で配合し、セラミドやヒアルロン酸との組み合わせによって、**“保湿の三層構造”**を構築する例もあります。
このように、グリセリンは単なる保湿成分にとどまらず、処方設計のベースとして極めて重要な役割を果たしているのです。特にOEMでスキンケア製品を開発する際には、グリセリンの濃度・他成分との相性・肌タイプ別のバランス設計まで考慮することで、より効果的で使いやすい商品設計につながります。

“吸湿性”の働き
まずグリセリンは、空気中の水分を取り込み、角質層に抱え込む性質があります。そのため乾燥肌や季節の変わり目には特に頼れる存在です。また、他の水溶性保湿成分と併用すると吸湿性がさらに高まり、しっとり感のある仕上がりを作れます。さらに、化粧水・美容液・クリームのどれに配合しても安定して働くため、処方設計において非常に扱いやすい成分です。
安全性が高く扱いやすい
次に、グリセリンは長年使用されてきた実績があり、安全性が高い点が特徴です。また、pH変化に強く、成分が分離しにくいため、初心者の化粧品づくりにも向いています。さらに、他の保湿成分と組み合わせることでテクスチャー調整にも役立ち、商品設計で欠かせない存在です。
濃度の注意点(濃度によるベタつき・相性成分)
ただし濃度には注意が必要です。たとえば、濃度が高すぎると粘度が増して重たい仕上がりになるため、化粧水では1〜5%、美容液では5〜10%を目安にします。さらに、スクワランやプロパンジオールなどと組み合わせると、ベタつきを抑えた快適なテクスチャーになります。。
スクワランで変わる肌のうるおい保持力
▼この章で扱う主なポイントは以下のとおりです
- スクワランのバリア力
- 軽くて使いやすいオイル特性
- アイテム別の使い分け
▼章の結論(結論・導入)
スクワランは、肌の表面に水分の蒸発を防ぐ“保護膜”を形成する働きに優れた保湿成分で、主にスキンケアの「仕上げアイテム(クリームやオイル)」に使われることが多い成分です。もともとヒトの皮脂膜にも含まれる天然成分の一種であるため、肌なじみが非常によく、べたつかず軽いテクスチャーで仕上がるのが特徴です。
この「軽さと高保湿の両立」という性質により、スクワランは特に脂性肌〜混合肌向けの保湿クリームや、夏場でも使えるオールシーズン対応の乳液などに重宝されています。たとえば、乳液タイプの美容液では、グリセリンで肌内部にうるおいを補給したあと、スクワランで表面をコーティングすることで、肌にしっかりとうるおいを閉じ込める設計が可能です。
また、最近では**植物由来のスクワラン(サトウキビやオリーブ由来)**も増えており、ヴィーガン処方やナチュラル系コスメでも多く採用されています。これにより、「環境配慮+低刺激+高機能」の3拍子がそろった成分として、海外向けOEMでも需要が高まっている傾向にあります。
なお、スクワランは単独で使用するよりも、グリセリンなどの水性保湿成分と組み合わせることで、より優れた保湿バリア構造を構築できるため、処方設計では「水分を与える→油分で閉じる」というスキンケアの基本ステップを意識することがポイントです。

蒸発を防ぐバリア
まずスクワランは、皮脂に近い構造を持つため、肌の上に薄く均一な膜を形成します。この膜が水分の蒸発を防ぎ、うるおいを長時間キープします。また、スクワランは酸化しにくいため、季節による品質変化が少なく安定した処方を組みやすい点も優れています。さらに、敏感肌でも使いやすいオイルとして多くのスキンケア製品に採用されています。
ベタつきにくい“軽いオイル
次にスクワランが愛される理由は、「軽いのにしっとりする」という質感です。一般的な植物油に比べてサラッと伸び、肌になじみやすく、ベタつきが残りにくい特徴があります。そのため、美容液・乳液・クリーム・オイルなど幅広いアイテムで使用されます。また、スクワランを少量配合するだけで、テクスチャー全体の仕上がりを上品に整えることができます。
アイテム別の使い分け
さらに、スクワランはアイテムによって適切な使用量が変わります。たとえば化粧水には微量(0.1〜0.5%)を乳化して使用し、美容液には3〜10%ほど配合します。そしてクリームではメインの油性成分として10〜20%ほど使用する場合があります。このようにアイテムごとの仕上がりを意識して配合することで、保湿力と軽さのバランスを取りやすくなります。
NMF(天然保湿因子)が守る角質内部のうるおい環境
▼この章で扱う主なポイントは以下のとおりです
- NMFの働き
- 外部成分との相乗効果
- 導入アイテムに向く理由
▼章の結論(結論・導入)
NMF(Natural Moisturizing Factor/天然保湿因子)は、肌の角質層に本来備わっている**“うるおいを保持するための自然な成分群”**のことを指します。主な構成成分には、アミノ酸・乳酸・尿素・PCA-Naなどの水溶性保湿物質が含まれ、これらが角質細胞内に存在することで、水分を抱え込み、肌の柔軟性を維持する役割を担っています。
このNMFは、肌に備わる**“自前のうるおいメカニズム”として機能しており、外部からの保湿アプローチとしても非常に有効です。とくに乾燥肌やバリア機能が低下した肌状態**では、NMFの量が不足していることが多く、その補充を目的としたスキンケア製品の開発が重要になります。
たとえば、低刺激性の化粧水や乳液においては、NMF成分を中心としたシンプルな処方が用いられます。これにより、敏感肌にもやさしく、肌本来の保湿能力を高める設計が可能になります。また、高濃度グリセリンとNMFを組み合わせた美容液は、角質層内の水分保持を強化する処方として、秋冬の乾燥対策に人気です。
さらにNMFは、水溶性成分であるため、油分の少ない処方(化粧水・ジェル・美容液など)との相性が良いという特徴もあります。この性質を活かして、「水分を与えるフェーズ」に重点を置いた製品開発や、油分との分離型2層処方のような応用的なスキンケア設計にも活用が可能です。
このように、NMFはスキンケアの土台を支える縁の下の力持ちともいえる存在であり、とくにOEM開発においては、「ベーシックだが効果の実感が得られる処方」を構築するうえで、欠かせない成分のひとつです。

肌本来の保湿システム
まずNMFは、アミノ酸・乳酸・尿素などで構成され、角質層の内部で水分を保持する天然由来の保湿成分です。これらが足りなくなると、肌は乾燥しやすく、バリア機能の低下や肌荒れにつながります。そのため、NMFを補うことは「肌本来の保湿力を支える」ために非常に重要です。また、NMFは水に溶けやすく、肌内部にスムーズに浸透する点も特徴です。
外部保湿成分との相乗効果
次に、NMFはグリセリンやヒアルロン酸など他の水溶性の保湿成分と組み合わせることで、より高い保湿力が期待できます。また、スクワランのようなオイル成分と併用すると、水分保持と蒸発防止を両立でき、乾燥しやすい時期にも安定したうるおいを維持しやすくなります。このように、NMFは単体というより複合処方で真価を発揮します。
化粧水・美容液で活かす理由
最後に、NMFは水溶性で浸透性が高く、化粧水や美容液との相性が非常に良い成分です。そのため、導入ステップのアイテムに配合することで、その後の保湿成分がなじみやすくなるメリットがあります。また、季節の変わり目のゆらぎ対策や、乾燥によるゴワつきを防ぐ効果も期待できます。

グリセリン・スクワラン・NMFを使い分ける3つの判断基準
▼この章で扱う主なポイントは以下のとおりです
- 肌質別の使い分け
- アイテム別の使い分け
- 製品コンセプト別の使い分け
▼章の結論(結論・導入)
続けて、成分をどう使い分けるかは「肌質・アイテム・コンセプト」の3つを基準にすると判断しやすくなります。
肌質別
まず乾燥肌には、グリセリンやNMFを多めに配合し、水分保持力を高める処方が向きます。次に混合肌は、油性成分を増やしすぎると重くなるため、スクワランの配合量を少なめに調整します。そして敏感肌は、刺激の少ないアミノ酸系の保湿成分を中心に処方すると安心です。
化粧品アイテム別
化粧水には軽い水溶性保湿成分、たとえばグリセリン・NMF・ヒアルロン酸が向いています。次に美容液は、保湿を強化したい場合はグリセリンの割合を増やし、エイジングケアではペプチド類を加えるなど、目的に応じた強化が必要です。そしてクリームでは、スクワランや植物オイルなどの油性成分が主役となり、水分蒸発を防ぐ役割を担います。
製品コンセプト別
たとえば「高保湿重視」の場合はグリセリン・NMFを主軸にします。一方「軽い仕上がり重視」の場合はスクワランの比率を増やして調整します。また「敏感肌向け」の場合は、刺激の少ないアミノ酸・NMF中心の処方にすることで、肌負担を減らしたアイテムに仕上がります。

自分の化粧品を作るための3ステップ処方ガイド
▼この章で扱う主なポイント
- 目的に合わせた保湿成分の選び方
- 濃度・比率の基本
- 相性が良い成分の組み合わせ
▼章の結論(結論・導入)
まず、化粧品づくりでは「成分を選ぶ → 濃度を決める → 相性を合わせる」という順番で進めると失敗が減ります。というのも、この3ステップに沿うことで、処方が論理的になり、試作の迷いが大幅に減るからです。
目的に合わせた保湿成分の選択
まず製品コンセプトを決めることが重要です。たとえば「高保湿を目指すならグリセリン中心」「軽さ重視ならスクワラン多め」「肌内部のうるおい保持を高めたいならNMF中心」など、目的によって必要な成分が変わります。また、敏感肌向けの商品づくりであれば、刺激が少ないアミノ酸やNMFを優先すると安定した仕上がりになります。このように目的を定めたうえで成分を選択すると、処方設計が一気に進めやすくなります。
使用濃度・比率の考え方
次に濃度設定です。まずグリセリンは化粧水なら1〜5%、美容液なら5〜10%が一般的です。一方スクワランは5〜20%が多く、クリームや乳液で活躍します。そしてNMFは1〜5%が使いやすく、水溶性アイテムで効果を発揮します。さらに、基本値で試作して感触を確認し、そこから微調整することで、理想の仕上がりに近づきます。
グリセリン/スクワラン/NMFの相性がよい成分リスト
さらに、これらの成分は相性を意識して組み合わせることで効果が高まります。たとえばグリセリンはヒアルロン酸・プロパンジオールと好相性で、しっとり感が増します。一方スクワランはホホバオイルや軽いエステルオイルと組み合わせると、のびが良く滑らかなテクスチャーになります。そしてNMFはアミノ酸や乳酸Naと組み合わせることで、角質内部での水分保持がさらに安定します。

化粧品OEMや小ロット開発を成功させるためのチェックリスト
▼この章で扱う主なポイントは以下のとおりです
- 原料選定の視点
- 工場とのコミュニケーション
- サンプル依頼前の事前準備
▼章の結論(結論・導入)
続いて、OEM開発では事前準備が整っているかどうかで試作のスピードも仕上がりも大きく変わります。原料・目的・予算の3軸を整理することで、ムダな試作が減ります。
原料選定時に押さえておくべき安全性・原価・使用感
まず原料選定では「安全性・原価・使用感」を同時に見ることが重要です。たとえば安全性の面では、肌負担の少ない成分を選ぶことで、トラブルを予防できます。また原価は製品価格に直結するため、採算のバランスを見ながら選定します。そして使用感は製品の満足度に大きく影響するため、ベタつき・伸び・仕上がりの軽さなどを確認する必要があります。
工場とのやり取りで重要なポイント
次に工場とのコミュニケーションです。まず「目的」「仕上がりイメージ」「使用したい成分」「避けたい成分」を最初に提示すると試作がスムーズになります。また、サンプルが届いた際には良い点・改善点を具体的に伝えることで、再試作の精度が高まります。
▶ 内部リンク:自社OEMサービスページ
https://ai-cosmetic.co.jp/oem/
サンプル作成の前に決めておくべき3つのこと
まず「製品の目的」、次に「使用したい成分」、そして「予算」。この3つを決めておくことで、工場とのやり取りが劇的にスムーズになります。また試作の方向性が固まり、不要な再試作を避けられるためコスト削減にもつながります。
【まとめ】
保湿成分の特徴を理解すると、化粧品づくりの精度が大きく向上します。というのも、グリセリン・スクワラン・NMFはそれぞれ働きが異なり、組み合わせによって仕上がりが変わるからです。また肌質・目的・アイテムに合わせて成分バランスを調整すると、処方の方向性が明確になります。さらにOEM開発では、目的・成分・予算を事前に整理しておくことで、試作の無駄を減らすことができます。
◆記事の要点
- まず、グリセリンは吸湿性の高い基礎保湿成分
- 次に、スクワランは軽いバリア膜で蒸発を防ぐ
- さらに、NMFは角質内部の水分保持を担う
- 加えて、肌質・アイテム別に使い分けが必要
- そして、OEM開発は目的・成分・予算の整理が鍵
総括(行動喚起)
この記事を参考にすると、保湿成分の使い分けと処方設計の流れを体系的に理解できます。次のステップとして、ぜひ試作やOEM相談に進んでください。
▶ 内部リンク:公式サイトトップ
https://ai-cosmetic.co.jp/
▶ 外部リンク(参考資料)
厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/
日本化粧品工業連合会:https://www.jcia.org/
CRODA:https://www.croda.com/









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