「品質には自信があるのに、なぜか売れない」。
化粧品OEMの相談で、最も多い声です。実はその原因は、成分や処方ではなく、商品化の過程で生じる“見えないコスト”にあります。この記事では、OEMで起きがちなコストミスと、売れない結果につながる構造を整理します。
【H2①】なぜ「ちゃんと作った化粧品」が売れないのか
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
・品質が高くても売上につながらない理由
・OEM選びの段階で結果が左右される構造
多くの人が「良い成分を使えば売れる」「日本製なら安心して選ばれる」と考えます。しかし実際には、品質が一定水準を超えた時点で、売れるかどうかを決める要因は別のところに移ります。売れない原因を製品そのものに求め続けると、問題の本質を見誤ります。
この章では、なぜ“ちゃんと作ったのに売れない”状況が起きるのかを、OEMの構造から整理します。
【H3】品質が良くても売上につながらない現実
結論から言うと、化粧品は「品質が良い」だけでは売れません。一定レベル以上の品質は、今や多くのOEMで実現可能だからです。そのため、差が出るのは販売設計やコスト配分、スケジュール管理といった周辺要素になります。
たとえば、原料にこだわった結果、原価率が想定以上に高くなり、適正価格で販売できなくなるケースがあります。この状態では、どれほど品質が良くても利益が残りません。結果として広告や販促に十分な予算を回せず、売れない商品になります。
品質は重要な前提条件ですが、それ自体が売上を保証するものではありません。この現実を理解することが、次の判断につながります。
【H3】OEM選びの時点で結果はほぼ決まっている
化粧品開発では、OEMを選んだ時点で成功確率の大半が決まります。理由は、OEMが単なる製造先ではなく、進行方法や判断基準に大きく影響する存在だからです。
たとえば、価格の安さだけを基準に選んだ場合、修正や調整が後回しになりやすく、完成までに遠回りすることがあります。その結果、想定より時間と費用がかかり、販売計画が崩れます。
一方で、設計段階から相談できるOEMであれば、不要な修正を減らし、全体コストを抑えた進行が可能です。売れるかどうかは、製品完成後ではなく、OEM選定の時点ですでに分かれています。

内部リンク(関連ページ)
https://ai-cosmetic.co.jp/oemodm/
【H2②】OEMで起きやすい「見えないコスト」とは何か
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
・見積書に現れにくい修正コストの正体
・容器・資材変更が連鎖的に生む追加費用
・表示・規制対応のやり直しが招く時間ロス
OEMでは、契約前に把握しづらいコストが進行中に積み重なります。これらは単発では小さく見えても、重なることで原価・スケジュール・販売計画に影響します。この章では、代表的な「見えないコスト」を分解し、なぜ売れない結果につながるのかを整理します。
【H3】見積書に載らないサンプル修正の積み重ね
結論として、サンプル修正は最も発生しやすい見えないコストです。理由は、初期設計が曖昧なまま進むと、修正が前提の進行になるからです。
たとえば、使用感や香りの方向性が固まらない状態で試作を始めると、細かな調整が繰り返されます。1回あたりの費用は小さく見えても、回数が増えるほどコストと時間が膨らみます。結果として発売が遅れ、販促の機会損失につながります。
初期段階で要件を詰めることが、修正コストを抑える最短ルートです。
【H3】容器・資材変更によって発生する追加費用
結論から言うと、容器や資材の変更は想定外の費用を生みやすい要因です。理由は、容器変更が単体で終わらず、付随作業を連鎖させるからです。
たとえば、ポンプからエアレスに変更すると、充填条件や表示サイズの見直しが必要になります。これにより資材の再手配や調整費が発生します。こうした変更は原価だけでなく、納期にも影響します。
容器はデザインだけでなく、製造工程全体に影響する前提条件として検討すべきです。
【H3】表示・規制対応のやり直しが招く時間ロス
結論として、表示・規制対応の手戻りは時間ロスの最大要因になります。理由は、修正が後工程に集中しやすいからです。たとえば、成分表記や効能表現の確認が不十分なまま進むと、最終段階で修正が必要になります。印刷物の差し替えや再確認が発生し、発売時期が後ろ倒しになります。
規制は後で直すものではなく、設計段階から織り込むことで、時間ロスを最小限に抑えられます。


【H2③】安さを優先したOEM選びが失敗につながる理由
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
・初期費用の安さが、結果的にコスト増になる仕組み
・修正前提の進行がブランド価値に与える影響
一見すると「安く作れるOEM」は魅力的に見えます。しかし、初期費用の数字だけで判断すると、後工程で想定外の負担が発生しやすくなります。この章では、安さを優先した選択がどのように失敗へつながるのかを、実務の流れに沿って整理します。
【H3】初期費用が安い=トータルコストが安いとは限らない
結論から言うと、初期費用の安さと最終的なコストの安さは一致しません。理由は、安価なプランほど修正や調整が想定されておらず、追加対応が発生しやすいからです。
たとえば、打ち合わせ回数や試作回数に制限がある場合、途中で方向修正が必要になると追加費用が発生します。結果として当初の見積もりを超え、スケジュールも延びがちになります。
トータルで見たときに何に費用がかかるのかを把握することが、OEM選びでは欠かせません。
【H3】修正前提の進行がブランド価値を下げる
結論として、修正を前提にした進行はブランド価値を損ないます。理由は、商品設計の軸が定まらないまま外見だけを整える流れになりやすいからです。たとえば、ターゲットや価格帯が曖昧なまま進めると、後から「やはり違う」と修正が重なります。
その結果、コンセプトがぼやけ、伝わりにくい商品になります。
ブランドは一貫性によって信頼を積み重ねます。修正を減らす設計こそが、価値を守る基盤になります。

【H2④】売れない原因は「製品」ではなく「設計」にある
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
・ターゲット設定が曖昧なまま商品化してしまう問題
・売り場・価格帯を想定しない設計が生むリスク
売れない理由を成分や処方に求めがちですが、実際にはその前段階の「設計」に原因があるケースが多く見られます。誰に、どこで、いくらで売るのかが定まらないまま進めると、完成後に調整が必要になり、結果として売りにくい商品になります。この章では、設計段階で起きやすいズレを整理します。
【H3】誰に売るかが曖昧なまま商品化してしまう問題
結論として、ターゲットが曖昧な商品は売れにくくなります。理由は、誰に向けた価値なのかが伝わらず、選ばれる理由が弱くなるからです。
たとえば「幅広い層に使える」と考えて設計すると、訴求点がぼやけ、結果として誰の悩みにも深く刺さらない商品になります。販売現場では、用途や対象が明確な商品ほど説明しやすく、選ばれやすくなります。
商品化の前に、具体的な使用者像を定めることが、売れる設計の第一歩です。
【H3】売り場・価格帯を想定しないまま作るリスク
結論から言うと、売り場と価格帯を想定しない設計は失敗につながります。理由は、販売環境に合わない仕様になりやすいからです。たとえば、エステサロン向けなのに価格が高すぎたり、EC向けなのに説明が複雑すぎたりすると、販売時に調整が必要になります。こうしたズレは、後から直すほどコストと時間がかかります。
設計段階で売り場と価格帯を具体化することで、無駄な修正を減らし、スムーズな販売につながります。

【H2⑤】後悔しないOEM選びのために確認すべき視点
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
・価格よりも優先すべき確認ポイント
・長期視点での伴走体制の重要性
OEM選びでは、見積金額が目に入りやすいものの、長期的な成果を左右するのは別の要素です。単発の製造ではなく、商品が売れるまでの過程を支えられるかどうかが重要になります。この章では、後悔を避けるために確認しておきたい視点を整理します。
【H3】価格よりも先に見るべきサポート体制
結論として、OEM選びでは価格よりもサポート体制を重視すべきです。理由は、商品化の途中で発生する判断や調整を、どこまで支援してもらえるかで結果が変わるからです。
たとえば、仕様変更や表現の相談に対して迅速に対応できる体制があれば、不要な修正を減らせます。一方で、最低限の対応に限られる場合、判断をすべて自分で抱え込むことになり、ミスが増えやすくなります。
価格は数値で比較できますが、サポート体制は事前に質問して見極める必要があります。
【H3】長期視点で伴走してくれるOEMかどうか
結論から言うと、OEMは一度きりの取引先ではなく、長期的なパートナーとして選ぶべきです。理由は、商品は発売後も改善や追加開発が続くからです。
たとえば、初回商品の反応を踏まえて改良や派生商品を検討する際、背景を理解しているOEMがいれば判断が早くなります。短期的な対応だけでは、継続的なブランドづくりは難しくなります。
伴走する姿勢があるかどうかは、初期のやり取りや提案内容から見極められます。

【H2⑥】それでも「売れない」を繰り返さないために、設計段階でできる具体策
化粧品OEMにおいて、ここまで見てきたような「見えないコスト」や判断ミスは、特別な失敗ではありません。むしろ、多くの人が同じような流れをたどっています。
問題は、失敗そのものではなく、同じ構造のまま次も作ってしまうことにあります。この章では、売れない状況を繰り返さないために、設計段階で実際に意識しておくべき具体策を整理します。
まず大切なのは、「何を作るか」よりも先に「なぜ作るのか」を言語化することです。成分や剤型、容器といった要素は目に見えやすいため、どうしても議論の中心になりがちです。
しかし、それらは目的が定まった後に選ぶ手段にすぎません。目的が曖昧なまま手段を積み上げると、途中で方向修正が必要になり、結果としてコストと時間を消耗します。
次に意識したいのは、「売れる前提」で設計するのではなく、「売れなかった場合の影響」まで想定しておくことです。多くの企画は、理想的な販売シナリオを前提に組み立てられます。
しかし実際の販売現場では、想定通りに進まないことのほうが多く、初速が弱かった場合の選択肢を用意していないと、身動きが取れなくなります。たとえば、価格調整が可能な原価設計か、販路を変えても対応できる仕様かといった視点は、設計段階でしか織り込めません。
また、OEMとのやり取りにおいては、「質問できる状態」を作っておくことが重要です。これは知識量の問題ではありません。判断の前提条件を整理し、「ここが決まっていない」「ここで迷っている」と言語化できるかどうかがポイントになります。
質問が曖昧なままだと、回答も一般論になり、結果として判断の精度が上がりません。設計段階での情報整理は、修正回数を減らすための実務的なスキルでもあります。
さらに、設計段階では「削る判断」も欠かせません。最初から理想をすべて盛り込もうとすると、原価・仕様・進行が複雑になり、管理コストが増えます。
初回商品は、ブランドの方向性を伝える役割を担う一方で、完成度を高めすぎない勇気も必要です。あえて余白を残しておくことで、販売後の改善や展開がしやすくなります。
加えて、スケジュール設計の考え方も見直す必要があります。発売日から逆算するだけでなく、「どこで判断が止まりやすいか」「どこで修正が入りやすいか」を想定しておくことで、無理のない進行が可能になります。
特に、表示や表現に関わる確認は後ろにずれ込みやすいため、余裕を持った設計が欠かせません。スケジュールの余白は、無駄ではなくリスク対策です。
販売チャネルとの整合性も、設計段階での重要な確認項目です。エステサロン、EC、卸など、売り場によって求められる仕様や説明の仕方は異なります。
それにもかかわらず、すべてを後から合わせようとすると、設計のやり直しが発生します。最初から一つの主軸を決め、その軸に合わせて設計することで、無理のない商品化につながります。
そして最後に、「一人で判断しきらない」設計を意識することが重要です。すべてを自分で決めようとすると、視野が狭くなり、判断が感覚的になりがちです。OEMを含め、第三者の視点を設計段階から取り入れることで、見落としや過剰なこだわりを防げます。
これは依存するという意味ではなく、判断材料を増やすという考え方です。
設計段階でできることは、地味で目立ちません。しかし、ここでの判断が後工程の負担を大きく左右します。売れない原因を完成後に探すのではなく、作る前に潰しておく。この姿勢こそが、OEMで遠回りしないための現実的な対策です。
設計段階で見落とされがちなもう一つのポイントは、「数字に落とせる部分」と「感覚で判断する部分」を意識的に分けることです。化粧品づくりでは、どうしても「好き」「良さそう」「今っぽい」といった感覚的な判断が入り込みます。
これ自体は悪いことではありませんが、すべてを感覚に委ねてしまうと、後から検証ができなくなります。どこまでが数値で管理できる要素で、どこからが感覚的な要素なのかを整理しておくことで、修正が必要になった際も冷静に判断できます。
たとえば、原価率や想定上代、最低ロット数といった項目は数値で管理できます。一方で、使用感の好みや香りの印象などは、完全に数値化することが難しい領域です。問題が起きやすいのは、この二つが混ざった状態で進行してしまうケースです。
感覚的な部分を数値で無理に説明しようとしたり、数値で管理すべき部分を感覚で判断したりすると、ズレが生じます。設計段階でこの線引きを意識するだけでも、判断の精度は大きく変わります。
また、設計時には「想定しないことを決めておく」ことも重要です。多くの企画では、やることや盛り込む要素ばかりが議論されますが、実は「今回はやらないこと」を決めるほうが難しく、かつ重要です。
たとえば、初回では医薬部外品にしない、海外展開は次回以降に回す、高級ラインは作らない、といった判断です。これらを明確にしておかないと、途中で話が膨らみ、設計が複雑化します。
さらに、設計段階でのコミュニケーションの取り方も、結果に大きく影響します。OEMとのやり取りでは、要望を一方的に伝えるのではなく、「背景」や「意図」を共有することが重要です。
同じ要望でも、その理由が分かれば、OEM側からより適切な提案が出てくる可能性があります。背景を省略したまま進めると、表面的な対応になり、後からズレが顕在化します。
設計段階でありがちな失敗として、「決めきれない状態」が長く続くことも挙げられます。慎重さは大切ですが、すべてを完璧に決めようとすると、前に進めなくなります。
重要なのは、どこまで決めてから進むのか、その基準を持つことです。たとえば、初回試作に進む条件を明確にしておけば、迷いが減り、修正も前向きなものになります。
加えて、設計段階では「販売後の手間」まで想像しておく必要があります。商品が完成した瞬間がゴールではなく、むしろそこからがスタートです。問い合わせ対応、説明資料の作成、リピート時の対応など、販売後に発生する作業を想定していないと、運用面で負担が増えます。
設計段階でこれらを考慮しておくことで、長く扱いやすい商品になります。
設計における情報整理の方法も、人によって向き不向きがあります。文章で整理する人、図で考える人、表に落とし込む人など、方法はさまざまです。重要なのは、自分が判断しやすい形に落とし込むことです。OEMとの共有資料も、相手に伝わりやすい形を意識することで、認識のズレを減らせます。
さらに、設計段階では「一度決めたことを疑う視点」も持っておくと安心です。最初に立てた前提条件が、本当に今も正しいのかを定期的に見直すことで、大きな修正を未然に防げます。ただし、頻繁に前提を覆すのではなく、見直すタイミングを決めておくことがポイントです。
最後に、設計段階で最も大切なのは、「売れなかった場合でも学びが残る形」にしておくことです。すべてが成功するとは限りません。
しかし、設計が整理されていれば、どこに原因があったのかを振り返ることができます。これは次の商品づくりにとって大きな資産になります。逆に、場当たり的な設計では、失敗しても理由が分からず、同じことを繰り返してしまいます。
ここまで見てきたように、設計段階でできることは多岐にわたりますが、共通しているのは「後工程を楽にするための準備」という視点です。売れない原因を完成後に探すのではなく、作る前に減らしておく。この積み重ねが、OEMでの遠回りを防ぎ、結果として安定した商品づくりにつながります。
設計段階で意外と軽視されやすいのが、「説明できるかどうか」という視点です。商品が完成した後、第三者に説明する場面は必ず訪れます。
エステサロンのスタッフ、取引先、最終的にはエンドユーザーです。そのときに、なぜこの仕様なのか、なぜこの価格なのかを簡潔に説明できないと、販売現場での説得力が弱くなります。設計段階で自分自身が説明に詰まる部分は、後々の弱点になりやすいポイントです。
また、設計時には「比較される前提」で考えることも重要です。市場に出れば、必ず他の商品と並べて比較されます。成分表、容量、価格、使い方など、どこで比較されやすいのかを想定し、その中で何を強みにするのかを整理しておく必要があります。
すべてで勝とうとすると中途半端になりがちですが、比較軸を限定すれば、伝えるべきポイントが明確になります。
さらに、設計段階では「変更が起きた場合の影響範囲」を把握しておくと安心です。たとえば、原料を一つ変えた場合、原価、表示、使用感、納期にどの程度影響が出るのかを想定しておくことで、判断が早くなります。変更の影響範囲が見えていないと、判断を先送りにしがちになり、結果として進行が滞ります。
設計の精度を高めるためには、「一度距離を置いて見直す時間」も有効です。打ち合わせや検討を重ねると、どうしても視野が狭くなります。
一定期間あえて触れずにおき、改めて全体を見直すことで、不要な要素や過剰なこだわりに気づくことがあります。時間を空けることは、遠回りのようでいて、結果的には効率を高める行為です。
また、設計段階では「情報の優先順位」を決めておくことが欠かせません。すべての情報を同じ重さで扱うと、判断が遅くなります。売上や継続性に直結する要素と、後から調整できる要素を分けて考えることで、判断にメリハリが生まれます。優先順位が明確であれば、迷ったときの軸にもなります。
設計が進むにつれて、当初の目的が薄れてしまうこともあります。途中で新しい情報や要望が増えると、最初に何を目指していたのか分からなくなることがあります。そのため、設計段階では「最初の目的」を定期的に確認することが大切です。この確認作業が、不要な修正や方向転換を防ぎます。
さらに、設計時には「次に活かせる余地」を残す意識も重要です。初回商品ですべてを完成させようとせず、改善や拡張の余地を意図的に残しておくことで、継続的な展開がしやすくなります。これは妥協ではなく、戦略的な設計です。長く続くブランドほど、最初から余白を持っています。
設計段階での記録の取り方も、後々の資産になります。なぜその判断をしたのか、何を優先したのかを簡単に残しておくことで、次の企画や改良時に役立ちます。記録がないと、同じ議論を何度も繰り返すことになり、効率が下がります。
ここまで積み重ねてきた設計の考え方は、特別な知識やスキルを必要とするものではありません。しかし、意識しないまま進めると見落とされがちな要素ばかりです。売れない原因を後から探すのではなく、作る前に減らしておく。そのための視点を持つことが、OEMでの失敗を繰り返さないための現実的な方法です。

【H2⑥ 追記|設計段階での思考を「再現可能」にする】
設計段階で意識しておきたい最後の視点は、「この判断は再現できるか」という問いです。再現できるとは、感覚や勢いだけでなく、理由や前提を説明できる状態を指します。たとえば、なぜこの原価設定にしたのか、なぜこの容量にしたのかといった判断が、後から振り返っても説明できるかどうかです。
これができていれば、次の商品づくりでも同じ失敗を繰り返しにくくなります。また、再現性を高めるためには、「判断の軸」を少数に絞ることが有効です。判断軸が多すぎると、その時々の状況に流されやすくなります。一方で、優先順位が明確であれば、迷ったときにも立ち戻る場所があります。
たとえば、「継続販売できる原価か」「説明しやすい設計か」といった軸を持っておくだけで、判断は格段にしやすくなります。
設計段階での迷いは、決して悪いものではありません。むしろ、迷いが生じるポイントこそが、後工程で問題になりやすい箇所です。その迷いを放置せず、言語化して整理しておくことが、見えないコストを抑えることにつながります。迷った痕跡を残すこと自体が、次の判断材料になります。
ここまで見てきたように、売れない化粧品が生まれる背景には、共通した構造があります。それは、完成度の低さではなく、判断の積み重ねです。設計段階での一つひとつの判断は小さく見えますが、その合計が結果を大きく左右します。だからこそ、作る前の時間をどう使うかが重要になります。
設計に正解はありません。ただし、「避けられる遠回り」は存在します。見えないコストや判断ミスは、事前に意識していれば減らせるものです。売れない理由を完成後に探すのではなく、作る前に潰しておく。この考え方を持つだけで、OEMとの向き合い方は大きく変わります。

まとめ|売れない化粧品を生まないために押さえておきたい要点
・化粧品が売れない原因は、品質不足ではなく設計段階の判断にある
・OEMでは、見積書に出ない「見えないコスト」が結果に大きく影響する
・初期費用の安さだけで判断すると、後工程で時間と費用を消耗しやすい
・売れるかどうかは、製品完成後ではなく、設計と進行の段階で決まる
・OEMは製造先ではなく、長期的に伴走できるパートナーとして選ぶべき
総じて言えるのは、「ちゃんと作ること」と「売れること」は別の話だという点です。
化粧品OEMでは、成分や価格だけでなく、設計・進行・判断の質まで含めて考えることで、無駄な遠回りを避けられます。これから商品化を考える方は、作り始める前に一度立ち止まり、どこで判断すべきかを整理してみてください。
総括
化粧品OEMで「売れない」という結果に直面したとき、多くの人は処方や成分に原因を求めがちです。しかし、本当に見直すべきなのは、商品が形になる前の判断と設計の積み重ねです。見積書には現れないコスト、修正を前提とした進行、目的が曖昧なままの設計は、完成後に必ず負担となって返ってきます。
売れる化粧品は、特別な成分や奇抜な発想から生まれるものではありません。誰に、どこで、どのように届けるのかを整理し、その前提に合った形でOEMと向き合った結果として生まれます。
これから商品化を考える方は、「作れるか」ではなく「売れ続ける設計になっているか」という視点で、一つひとつの判断を見直してみてください。その積み重ねが、遠回りしないOEMにつながります。
- https://www.pmda.go.jp/
(医薬品医療機器総合機構|化粧品・医薬部外品の表示や規制に関する公式情報) - https://www.mhlw.go.jp/
(厚生労働省|化粧品に関する法規・制度の最新情報) - https://www.jcia.org/
(日本化粧品工業連合会|化粧品業界の自主基準・品質管理情報) - https://www.jcospa.jp/
(日本コスメティック協会|化粧品ビジネス・品質に関する基礎情報)

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